こんにちは、木こりです。
もし自分の子供がテレビゲームを楽しめる年になった時、どのように接していくのが良いのだろうか?
そんな悩みを抱えている方は、元ファミ通編集長であり、代表取締役社長である浜村弘一さんとその息子さんが、どのようにゲームを通してコミュニケーションをしていたかを参考にしてみるのが良いかも知れません。
えっ?どうやって他人の生活を知るすべがあるのか?
大丈夫です。
その浜村さんが息子とのゲーム生活を描いた「ゲームばっかりしてなさい。」は既に書籍化されています。
私は10年くらい前に古本屋で購入しました。(ゲーム好きなら買うしかないタイトルですよね?)
一度は読んだ本を、今になって奥から引っ張り出してきた理由としては「ゲームに対する世間のイメージ」について記事を書こうかなぁと思い、その参考文献としてピッタリ合うイメージがあったためです。
今回の記事はこの「ゲームばっかりしてなさい。」を久しぶりに読んだ感想について、子供とゲームの付き合い方を考えながらレビューしたいと思います。
ちなみにこの書籍は主に
- 短絡的なゲーム批判への反論
- ゲームを通じた子供の成長記録
- 親の我が子への愛
という成分で出来ておりますので興味がある方は是非ポチり下さい。
ゲームへの理解不足からくる批判
この本ではたびたび、著者である浜村さんが直面したゲームに対する批判やゲームだけを悪者にするような表現が出てきますが、それに対する著者の答えは
「映画や小説、音楽にはできて、ゲームにはできないという理屈は明らかに間違っている」
というものです。
2002年には「ゲーム脳の恐怖」という書籍において、「テレビゲームに熱中している人間の脳は認知症患者と同様である」という学説が世間に出たことから、「ゲーム脳」という言葉が一人歩きを始めます。(この学説に関しては疑問視する学者も多数いる)
とある報道番組では「あなたもゲーム脳かも知れない10のチェックポイント」として
- 公共の乗り物の中で水が飲める
- マンガ以外の書物は読まない
- 部屋が片付いていない
- 身なりに無頓着
という項目まで作っちゃう始末。
(全然関係ない話ですが、私が中学生の時は掃除中に水を飲んだだけで先生にボコボコにされました…)
まぁ多分どっかで変な具合に盛りに盛ってこんな方向になっちゃったと思うのですが、こんな状態が2002年の話。
PS2が発売されて2年も経ってゲーム熱もだいぶ盛り上がってきている時代において、こういったゲームを批判する風潮があったんですね。
じゃあ現代はどうか?
今でこそプロゲーマーやeスポーツも認知されるようになり、ゲームに関するバラエティ番組も増えてきました。
テレビゲーム世代だった子供も親になって、以前よりはゲームに対する理解はあると思います。
ただし実際のところ、ネットの悩み相談に目を通してみると
「自分の子供がゲームをし過ぎで将来が心配」というものはよく見かけますね。
これってでも面白いと思いませんか?
「ゲームをする子供がプロゲーマーになるのは難しい」と悩む親がいる一方で
「読書をする子供が小説家になるのは難しい」と悩む親や
「テレビを見る子供が映画監督になるのは難しい」っていうのはあまり見かけません。
何かまるで、ゲームに熱中する子供の将来がプロゲーマーしか道はないみたいな流れを感じちゃうんです。
読書やテレビと同じように単なる趣味として扱ってもらっても良いと思うのですが、やはりなぜかゲームだけ特別扱い。
そういうゲームだけ特別視されるという点では、昔も今もあまり変わっていないかも知れません。
書籍中で特に心を打たれたのが、浜村さんの息子さん(当時小学生)がこういったゲーム脳を批判する報道を見て
「おとうさん、ボク、大丈夫だよね?」
と深く傷ついてしまったシーン。
報道する側はここまで想定して伝え方を考えているのだろうか?
もし自分の子供が同じような状況になったらどう声をかけるべきなのか?
ブログでの何気ない言葉が他人を傷つけていないか?
色々と考えさせられました。
ゲームで育つ息子の成長記録
ここまではちょっと重い感じの話が多かったので、何かそういうおカタい話だけをしている本なのかと勘違いされたかも知れません。
でもご安心ください。
この物語の多くは、ゲームを通じた子供の成長記録と、その子供へ注がれる親の愛情満載のハートフルな要素で構成されています。
例えば、ポケモンをプレイするようになった子供の
「ハムスターと電気ウナギの細胞をくっつけるとピカチュウが出来る」
という発言。
小学3年生の子供がもしこんな発言をして、それが我が子であれば
「この子は天才じゃないかっ!」
っと思ってしまうほどでしょう。
他にもドラクエ5において
「スライムナイトのピエールは上と下どちらなのか?」
という純粋な質問。
この本で学んだ浜村さんの素晴らしい対応は、これら1つ1つの子供からの何気ない言葉を無視するのではなく、きちんと正面から受け止めて何かしらの答えを出しているんですよね。
皆さんは
「スライムナイトのピエールは上と下どちらなのか?」
と聞かれたらどう答えますか?
この場面での浜村さんの答え方は実にクールでした。(答えは読んでのお楽しみにしておきます)
時にRPGで行き詰まる場面も出てきますが、浜村さんはここでも子供に答えは与えません。
ヒントを与えて子供に考える時間を作ります。
自分ならすぐに答えを与えて楽しちゃいそうだなぁと少し反省しました。
メタルギア3をプレイしている時なんか、
「アメリカとソ連は仲が悪いのか?」
という質問を受けて30分も歴史から説明したそうだから感服いたします。
こうやって真剣にゲームを通じて子供とコミュニケーションをとることで、少しずつですが成長してく様子が見えてくるんですね。
例えば、メモリーカードのセーブデータが消滅するという、ゲーマーにとっては絶望的なアクシデントに遭遇する場面も出てくるのですが、その事件後にはメモリーカードを2つ用意して毎回2つにセーブして保険をかけるというナイスな改善。
これを子供が独自で行うのです。
ゲームに理解がない方であれば極端な話、
「ゲームをしていれば頭は悪くなるだけ」
くらいに思うかも知れませんが、ゲームでも上記のようにいろいろな出来事を経て勉強できる点はたくさんあります。
でもそこで大切なのが、親が子供にしっかりと向き合うこと。
浜村さんがよく言う言葉に
「ゲームをベビーシッター代わりに使って放ったらかしにしていないか?」
という表現がありますが、まさにこれです。
逆に、親がしっかりと子供が遊ぶゲームに全責任を負うのであれば、過激な描写が出てくるゲームであっても浜村さんはプレイさせる判断をします。
確かに、過激なシーンであっても、しっかりとその意味を伝えることができるのであれば、そこから子供が得るものも多いんじゃないかと思います。
まとめ
- ゲームが特別視されているのは今も変わらない
- 大切なのはゲームを通じて子供と正面から向き合うこと
- ベビーシッター代わりにゲームを使用してはいけない
ゲームにハマっちゃう子供はプロゲーマーへの道しかないと思う親御さんもいるかも知れませんが、実際には私のように普通のサラリーマンとして働く人が大半だと思います。
それに今の時代はプロゲーマー以外にも、Youtuberとしてゲームの楽しさを表現する職業もありますし、著者の浜村さんのようにファミ通のようなメディアで働く手段もありです。
そしてゲームの作り手にまわっても良いんですから。
何だったら私のように単なる趣味として楽しんでも問題ありません。
ですので、子供がゲームをすることで将来の可能性が極端に狭まるってことはないと思います。
浜村さんとその息子さんのゲームを通した日常が描かれているこの書籍は、きっとゲーム好きな子供を持つ親御さんの道しるべになるでしょう。
ちなみにこの書籍において私が一番のお気に入りのシーンは、ドラクエ5で結婚相手を選ぶ前夜の息子のセリフ
「ボク、もう、ルーラの呪文で別の街に飛んでっちゃいたい気分だよ」
です。
これはもう100点。
我が子が言ったら本気でルーラを使っちゃいそうなくらい。
それじゃあ、またなっ!
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